高円の野辺のかほ花面影に
見えつつ妹は忘れかねつも
- 歌の意味
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高円の野辺に咲くかお花のように、その面影が目に浮かび続けて、あなたのことは忘れようにも忘れられない。
- 鑑賞
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巻第八 秋相聞 1630
詞書は前の歌に続き「大伴宿禰家持の坂上大嬢に贈る歌一首[并せて短歌]」の反歌
高円の野辺に咲くかお花のように、恋しい人の面影が目に浮かび続け、忘れようにも忘れられないと詠む歌である。長歌の第千六百二十九首の反歌で、長歌が高円の山や野を歩いても花を見るたびにいっそう恋しさがつのると詠んだのを受け、その花の一つであるかお花に恋人の面影を重ねている。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。歌を贈った坂上大嬢は、大伴坂上郎女の娘で家持のいとこにあたり、のちに家持の妻となった。
初句「高円の」は、奈良市東部の高円山のあたりである。
二句「野辺のかほ花」の「かほ花」は、美しい花の意とも、昼顔やかきつばたともいわれ、語義は定まらない。花の名の「かほ」が、三句の「面影」を導いている。
三句「面影に」は、目に浮かぶ姿としての意である。
四句「見えつつ妹は」は、見え続けてあなたはの意である。
結句「忘れかねつも」は、完了の「つ」と詠嘆の「も」で、忘れようにも忘れられないと嘆いている。
かほばな:美しい花の意とも、昼顔やかきつばたともいわれ、語義は定まらない
おもかげ:目に浮かぶ姿
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が宿の萩の下葉は秋風も いまだ吹かねばかくぞもみてる
- 次の歌
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今造る久迩の都に秋の夜の 長きにひとり寝るが苦しさ