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今造る久迩の都に秋の夜の
長きにひとり寝るが苦しさ

歌の意味
今まさに造営している久迩の都で、秋の長い夜に、ひとりで寝るのはつらいことだ。
鑑賞
巻第八 秋相聞 1631

詞書「大伴宿禰家持の安倍女郎に贈る歌一首」
 造営中の新しい都である久迩京で、秋の長い夜をひとりで寝るのはつらいと詠む歌である。都が奈良から久迩京へ移され、新都に勤める作者が、恋しい人と離れて過ごす夜の寂しさを訴えている。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。歌を贈った安倍女郎は、家持と歌を交わした女性で、伝は未詳である。

 初句「今造る」は、今まさに造営しているの意で、新しい都であることを示す。
 二句「久迩の都に」は、聖武天皇が山城国に営んだ久迩京である。
 三句「秋の夜の」は、秋の夜のの意である。
 四句「長きにひとり」は、長い夜にひとりでの意である。
 結句「寝るが苦しさ」は体言止めで、ひとり寝のつらさを最後に置いて余韻を残している。

くにのみやこ:聖武天皇が山城国に営んだ久迩京
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
高円の野辺のかほ花面影に 見えつつ妹は忘れかねつも
次の歌
あしひきの山辺に居りて秋風の 日に異に吹けば妹をしぞ思ふ