あしひきの山辺に居りて秋風の
日に異に吹けば妹をしぞ思ふ
- 歌の意味
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山辺に住んでいて、秋風が日ごとに強く吹くので、あなたのことばかりを思っている。
- 鑑賞
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巻第八 秋相聞 1632
詞書「大伴宿禰家持の久迩京より寧楽の宅に留まれる坂上大娘に贈る歌一首」
山辺の新都に住んでいて、秋風が日ごとに強く吹くので、奈良の家にいるあなたのことばかりを思っていると詠む歌である。久迩京から奈良に残る坂上大嬢に贈ったもので、深まる秋風の寒さが、離れて暮らす人への思いをつのらせている。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。歌を贈った坂上大嬢は、大伴坂上郎女の娘で家持のいとこにあたり、のちに家持の妻となった。
初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
二句「山辺に居りて」は、山のほとりにいての意で、山に囲まれた久迩京を指している。
三句「秋風の」は、日ごとに強まる秋の風である。本巻の第千五百五十五首の安貴王の歌も、秋の朝明の風を「手本寒しも」と詠み、秋風の寒さに独り寝の寂しさを感じさせている。
四句「日に異に吹けば」は、日ごとにいっそう吹くのでの意である。
結句「妹をしぞ思ふ」は、強意の「し」と係助詞「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結ぶ係り結びで、あなたのことばかりを思うと強調している。
やまへ:山のほとり、山のあたり
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今造る久迩の都に秋の夜の 長きにひとり寝るが苦しさ
- 次の歌
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手もすまに植ゑし萩にやかへりては 見れども飽かず心尽さむ