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沫雪に降らえて咲ける梅の花
君がり遣らばよそへてむかも

歌の意味
淡雪に降られて咲いている梅の花を、あなたのもとへ贈ったならば、この花を私になぞらえて見てくれるだろうか。
鑑賞
巻第八 冬雑歌 1641

詞書「角朝臣広弁の雪梅の歌一首」
 淡雪に降られて咲いた梅の花を、恋しい人のもとへ贈ったなら、この花を私になぞらえて見てくれるだろうかと詠む歌である。雪の中に咲く梅に自らの思いを託し、花を通して心を伝えようとしている。
 作者の角広弁は、角氏の官人で、伝は未詳である。

 初句「沫雪に」は、泡のように消えやすい淡雪にの意である。
 二句「降らえて咲ける」は、受身の「らゆ」で、雪に降られて咲いているの意である。本巻の第千四百三十六首の大伴村上の歌も、淡雪にあって梅が咲いたかと思いやっており、淡雪が梅を咲かせるという見方が共通している。
 三句「梅の花」は、贈ろうとする花を示す。
 四句「君がり遣らば」の「がり」は、〜のもとへの意で、あなたのもとへ贈ったならばの意である。
 結句「よそへてむかも」の「よそふ」は、なぞらえる、関係づけて見るの意で、完了の「て」と推量の「む」に「かも」を添え、私になぞらえて見てくれるだろうかと推し量っている。

よそふ:なぞらえる、関係づけて見る
あわゆき:泡のように消えやすい雪
作者
角広弁
出典
万葉集
前の歌
我が岡に盛りに咲ける梅の花 残れる雪をまがへつるかも
次の歌
たな霧らひ雪も降らぬか梅の花 咲かぬが代にそへてだに見む