たな霧らひ雪も降らぬか梅の花
咲かぬが代にそへてだに見む
- 歌の意味
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空一面を曇らせて、雪でも降ってくれないものか。梅の花がまだ咲かないその代わりに、せめて雪を花になぞらえてでも見よう。
- 鑑賞
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巻第八 冬雑歌 1642
詞書「安倍朝臣奥道の雪の歌一首」
梅の花がまだ咲かないので、その代わりに空を曇らせて雪でも降ってくれないものか、雪を花になぞらえてでも見ようと詠む歌である。花の咲くのを待ちきれない心が、雪を花に見立てようとする願いとなって表れている。
作者の安倍奥道は、奈良時代の官人である。
初句「たな霧らひ」は、空一面が霧や雲に覆われて曇るさまを表す。
二句「雪も降らぬか」は、打消の「ぬ」に「か」を添えた願望の表現で、雪でも降ってくれないものかと願い、ここで句切れとなる。次歌の第千六百四十三首も同じ二句で、雪を待つ歌が続けて配されている。
三句「梅の花」は、まだ咲かない梅の花である。
四句「咲かぬが代に」の「代」は、代わりの意で、咲かないその代わりにの意である。
結句「そへてだに見む」は、なぞらえてでも見ようの意で、「だに」でせめてもの願いを表している。
しろ:代わり、代用
たなぎらふ:空一面が霧や雲で曇る
- 作者
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安倍奥道
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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沫雪に降らえて咲ける梅の花 君がり遣らばよそへてむかも
- 次の歌
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天霧らし雪も降らぬかいちしろく このいつ柴に降らまくを見む