ぬばたまの今夜の雪にいざ濡れな
明けむ朝に消なば惜しけむ
- 歌の意味
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今夜の雪に、さあ濡れよう。夜が明けた朝に消えてしまったら、惜しいだろうから。
- 鑑賞
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巻第八 冬雑歌 1646
詞書「小治田朝臣東麻呂の雪の歌一首」
今夜降る雪に、さあ濡れてみよう、夜が明けて消えてしまっては惜しいからと詠む歌である。はかなく消える雪をいとおしみ、今この時の美しさを身をもって味わおうとする心が表されている。
作者の小治田東麻呂は、小治田氏の官人である。
初句「ぬばたまの」は、「夜」にかかる枕詞である。
二句「今夜の雪に」は、今夜降る雪にの意である。
三句「いざ濡れな」は、意志の「な」で、さあ濡れようと呼びかけ、ここで句切れとなる。
四句「明けむ朝に」は、夜が明けた朝にの意である。本巻の第千五百五十一首の市原王の歌にも「明けむ朝」の語があり、そちらは明朝の黄葉を待ち、この歌は明朝には雪が消えることを惜しんでいる。
結句「消なば惜しけむ」は、消えてしまったら惜しいだろうの意で、倒置によって濡れようとする理由を最後に示している。
ぬばたま:ひおうぎの黒い実、夜や黒にかかる枕詞
- 作者
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小治田東麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が宿の冬木の上に降る雪を 梅の花かとうち見つるかも
- 次の歌
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梅の花枝にか散ると見るまでに 風に乱れて雪ぞ降り来る