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今日降りし雪に競ひて我が宿の
冬木の梅は花咲きにけり

歌の意味
今日降った雪と競い合うように、我が家の庭の冬枯れの梅の木は、白い花を咲かせたことだ。
鑑賞
巻第八 冬雑歌 1649

詞書「大伴宿禰家持の雪梅の歌一首」
 今日降った雪と競い合うように、庭の冬枯れの梅の木が花を咲かせたと詠む歌である。白い雪と白い梅とが白さを競うかのような情景に、冬の中に訪れた春の兆しへの喜びが表されている。
 作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、奈良時代の官人である。中納言に至り、万葉集の編纂に深く関わったとされ、集中最も多くの歌を残す。

 初句「今日降りし」は、今日降ったの意である。
 二句「雪に競ひて」は、雪と競い合っての意で、雪と梅の白さを擬人化している。
 三句「我が宿の」は、自分の家の庭を示す。
 四句「冬木の梅は」は、冬枯れのままの梅の木はの意である。本巻の第千六百四十五首の巨勢宿奈麻呂の歌は、冬木に降る雪を梅の花と見まがっており、この歌では冬木に実際に梅が咲いている。
 結句「花咲きにけり」は、完了の「に」と詠嘆の「けり」で、花が咲いたことへの感動を表す。本巻の第千四百二十三首の阿倍広庭の歌も同じ結句で、植えた梅の若木の開花を喜んでおり、春と冬とで梅の開花を喜ぶ歌が呼応している。

きほふ:競い合う
ふゆき:冬枯れの木
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
十二月には沫雪降ると知らねかも 梅の花咲くふふめらずして
次の歌
池の辺の松の末葉に降る雪は 五百重降りしけ明日さへも見む