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沫雪のこのころ継ぎてかく降らば
梅の初花散りか過ぎなむ

歌の意味
淡雪がこのごろ続けてこのように降ったなら、梅の初花は散ってしまうのだろうか。
鑑賞
巻第八 冬雑歌 1651

詞書「大伴坂上郎女の歌一首」
 このごろ淡雪が続けてこのように降っているので、咲いたばかりの梅の初花が散ってしまうのではないかと案じる歌である。雪の中にいち早く咲いた梅をいとおしみ、その花が失われることを惜しむ心が表されている。
 作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。大伴家持の叔母であり、のちに姑ともなった。万葉集に多くの歌を残す女性歌人である。

 初句「沫雪の」は、泡のように消えやすい淡雪のの意である。
 二句「このころ継ぎて」は、このごろ続けての意で、雪が日を重ねて降っていることを示す。
 三句「かく降らば」は、このように降ったならばの意である。
 四句「梅の初花」は、その年初めて咲いた梅の花である。
 結句「散りか過ぎなむ」は、疑問の「か」と完了の「な」、推量の「む」で、散ってしまうのだろうかと案じる。本巻の第千五百五十四首、第千五百五十七首にも同じ結句があり、秋には時雨や雨に散る黄葉や萩を、冬には雪に散る梅を惜しんでいる。

はつはな:その年初めて咲いた花
あわゆき:泡のように消えやすい雪
作者
大伴坂上郎女
出典
万葉集
前の歌
池の辺の松の末葉に降る雪は 五百重降りしけ明日さへも見む
次の歌
梅の花折りも折らずも見つれども 今夜の花になほしかずけり