松蔭の浅茅の上の白雪を
消たずて置かむことはかもなき
- 歌の意味
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松の陰の浅茅の上に積もった白雪を、消さずにそのまま置いておく手だてはないものだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 冬雑歌 1654
詞書「大伴坂上郎女の雪の歌一首」
松の陰の浅茅の上に積もった白雪を、消さずにそのまま置いておく手だてはないものだろうかと願う歌である。松の緑と浅茅の上の雪の白さが美しく映え合う景をいとおしみ、それを留めておきたい心が表されている。冬雑歌の最後に置かれている。
作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。大伴家持の叔母であり、のちに姑ともなった。万葉集に多くの歌を残す女性歌人である。
初句「松蔭の」は、松の木陰のの意で、日が当たらず雪の消え残る所である。
二句「浅茅の上の」は、丈の低いちがやの上のの意である。
三句「白雪を」は、浅茅の上に積もった白い雪である。
四句「消たずて置かむ」は、消さないで置いておこうの意である。本巻の第千五百七十二首の大伴家持の歌も「消たずて玉に貫く」と、白露を消さずに留めたいと願っており、露と雪という消えやすいものを留めようとする心が秋と冬とで呼応している。
結句「ことはかもなき」は、疑問の「か」と詠嘆の「も」を含み、その手だてはないものだろうかと嘆いている。
まつかげ:松の木陰
あさぢ:丈の低いちがや
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今のごと心を常に思へらば まづ咲く花の地に落ちめやも
- 次の歌
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高山の菅の葉しのぎ降る雪の 消ぬと言ふべくも恋の繁けく