酒杯に梅の花浮かべ思ふどち
飲みての後は散りぬともよし
- 歌の意味
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酒杯に梅の花を浮かべて、気の合う仲間どうしで飲んだあとは、花は散ってしまってもかまわない。
- 鑑賞
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巻第八 冬相聞 1656
詞書「大伴坂上郎女の歌一首」
酒杯に梅の花を浮かべて、気の合う仲間どうしで酒を酌み交わしたあとは、花は散ってしまってもかまわないと詠む歌である。梅の花を浮かべた酒杯という風雅な趣向に、親しい人々との宴の楽しさが表されている。次歌の左注によれば、当時、官によって酒が禁じられ、都の里々で集まって宴をすることは許されなかったが、親しい者が一人二人で飲み楽しむことは許されていたという。
作者の大伴坂上郎女は、大伴安麻呂の娘で、大伴旅人の異母妹にあたる。大伴家持の叔母であり、のちに姑ともなった。万葉集に多くの歌を残す女性歌人である。
初句「酒杯に」は、酒を注ぐ杯にの意である。
二句「梅の花浮かべ」は字余りで、梅の花を浮かべての意である。
三句「思ふどち」は、互いに心を寄せ合う仲間どうしの意である。本巻の第千五百九十一首の大伴家持の歌にも同じ語があり、親しい者たちの宴を詠んでいる。
四句「飲みての後は」は、飲んだあとはの意である。
結句「散りぬともよし」は、散ってしまってもかまわないの意で、宴の満足を表す。本巻の第千五百八十八首の「散らば散るとも」と同じく、楽しみを尽くしたのちは花の散るのをいとわない心が詠まれている。
さかづき:酒を注いで飲む器
おもふどち:気の合う仲間、親しい者どうし
- 作者
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大伴坂上郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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高山の菅の葉しのぎ降る雪の 消ぬと言ふべくも恋の繁けく
- 次の歌
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官にも許したまへり今夜のみ 飲まむ酒かも散りこすなゆめ