官にも許したまへり今夜のみ
飲まむ酒かも散りこすなゆめ
- 歌の意味
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お上もお許しくださっている。今夜だけ飲む酒であろうか、いやそうではない。梅の花よ、決して散ってくれるな。
- 鑑賞
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巻第八 冬相聞 1657
詞書「和ふる歌一首」
前歌で大伴坂上郎女が、梅の花を浮かべて飲んだあとは散ってもよいと詠んだのに答え、お上も許してくださっているのだから、今夜だけの酒ではない、梅の花よ決して散ってくれるなと詠む歌である。左注に「右は、酒は官に禁制して称く、京中の閭里に集宴することを得ざれ、ただし親々一二の飲楽は聴許すといふ。これによりて和ふる人この発句を作る」とあり、禁酒令のもとで親しい者どうしの飲酒は許されていたことを踏まえて詠まれている。
作者は題詞に「和ふる歌」とあるのみで、名は伝わらない。
初句「官にも」は、お上にも、朝廷にもの意である。
二句「許したまへり」は、尊敬の「たまふ」と存続の「り」で、お許しくださっていると言い切り、ここで句切れとなる。
三句「今夜のみ」は、今夜だけの意である。
四句「飲まむ酒かも」は、反語の「かも」で、今夜だけ飲む酒であろうか、いやそうではないと打ち消し、ここで句切れとなる。
結句「散りこすなゆめ」は、希望の「こす」に禁止の「な」を重ね、副詞「ゆめ」で強めて、決して散ってくれるなと願う。前歌の「散りぬともよし」に対し、散ってはならないと反転させて答えている。同じ結句は本巻の第千四百三十七首、第千五百六十首にもみえる。
つかさ:役所、朝廷
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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酒杯に梅の花浮かべ思ふどち 飲みての後は散りぬともよし
- 次の歌
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我が背子とふたり見ませばいくばくか この降る雪の嬉しくあらまし