沫雪の消ぬべきものを今までに
流らへぬるは妹に逢はむとぞ
- 歌の意味
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淡雪のように消えてしまいそうな身であるのに、今まで生きながらえてきたのは、妹に逢おうと思ってのことだ。
- 鑑賞
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巻第八 冬相聞 1662
詞書「大伴田村大娘の妹坂上大娘に与ふる歌一首」
淡雪のように消えてしまいそうな身であるのに、今まで生きながらえてきたのは、妹に逢いたいと思ったからだと詠む歌である。姉妹の間の深い情愛を、恋の歌のような切実な言葉で表している。
作者の大伴田村大嬢は、大伴宿奈麻呂の娘で、坂上大嬢の異母姉にあたる。田村の里に住んだことからこの名で呼ばれる。
初句「沫雪の」は、泡のように消えやすい淡雪のの意で、二句の「消」を導いている。
二句「消ぬべきものを」は、消えてしまうはずのものであるのにの意で、自らのはかない身を示す。本巻の第千五百六十四首の日置長枝娘子の歌も「消ぬべくも我は」と、露の消えやすさに身を重ねている。
三句「今までに」は、今までの意である。
四句「流らへぬるは」は、生きながらえてきたのはの意である。本巻の第千四百二十首の駿河采女の歌では「流らへ散る」と、花が流れるように散り続けるさまに用いられており、同じ語が春には花の散るさまに、冬には命を長らえるさまに用いられている。
結句「妹に逢はむとぞ」は、係助詞「ぞ」で結び、妹に逢おうと思ってのことだと、生きながらえてきた理由を強調している。
ながらふ:生きながらえる、長く続く
あわゆき:泡のように消えやすい雪
- 作者
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大伴田村大嬢
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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久方の月夜を清み梅の花 心開けて我が思へる君
- 次の歌
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沫雪の庭に降り敷き寒き夜を 手枕まかずひとりかも寝む