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妹がため我れ玉求む沖辺なる
白玉寄せ来沖つ白波

歌の意味
妻のために私は玉を探し求めている。沖のあたりにある白玉を寄せて来い、沖の白波よ。
鑑賞
巻第九 雑歌 1667

詞書「大宝元年辛丑冬十月、太上天皇、大行天皇、紀伊国に幸す時の歌十三首」
 妻への土産にする白玉を探し求め、沖の白波に向かって白玉を寄せて来いと呼びかける歌である。
 詞書によれば、大宝元年(701)冬十月に太上天皇(持統天皇)と大行天皇(文武天皇)が紀伊国に行幸した折の歌十三首の一首目である。「大行天皇」は崩御してまだ諡号の定まらない天皇をいう語で、この記録が文武天皇の崩御後にまとめられたことを示している。
 左注には、この歌はすでに上に見えるが、歌詞が少し異なり年代も違うので重ねて載せる、とある。本巻の第千六百六十五首とほとんど同じ歌で、二句の「玉拾ふ」が「玉求む」に、四句の「玉寄せ持ち来」が「白玉寄せ来」に変わっている。斉明朝の行幸で詠まれた歌が、四十年ほど後の行幸で改めて歌われたものと考えられる。

 初句「妹がため」は、妻のために、の意で、本巻の第千六百六十五首と同じ初句である。
 二句「我れ玉求む」は、自分は玉を探し求めている、の意で、ここで句切れとなる。第千六百六十五首の「玉拾ふ」に比べ、まだ手に入れていない玉を求める姿となっている。
 三句「沖辺なる」は、沖のあたりにある、の意で、第千六百六十五首と同じ句である。
 四句「白玉寄せ来」は、白玉を寄せて来い、という命令で、「白玉」は真珠を指す。玉を「白玉」と具体的にしたことで、結句の「白波」と白の色が響き合う。
 結句「沖つ白波」は、呼びかける相手を最後に置く倒置で、体言止めとなっている。第千六百六十五首と同じ結句である。

しらたま:白く美しい玉、特に真珠
もとむ:探し求める
出典
万葉集
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