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白崎は幸くあり待て大船に
真梶しじ貫きまたかへり見む

歌の意味
白崎よ、変わらず無事に待っていてくれ。大きな船に櫂をたくさん取り付けて、また帰って来て見よう。
鑑賞
巻第九 雑歌 1668

詞書は前の歌に続き「大宝元年辛丑冬十月、太上天皇、大行天皇、紀伊国に幸す時の歌十三首」
 白く輝く白崎の景色を愛で、いつまでも変わらずに待っていてくれ、また大船でやって来て見ようと呼びかける歌である。美しい土地をほめたたえ、再び訪れることを誓う土地讃めの歌となっている。
 大宝元年(701)の紀伊行幸の歌十三首の二首目である。白崎は現在の和歌山県日高郡由良町にある岬で、白い石灰岩の岩肌で知られる。

 初句「白崎は」は、呼びかける相手として地名を掲げる。白崎の名に、白く光る岬の姿が重なる。
 二句「幸くあり待て」は、無事に変わらずそのままで待っていてくれ、の意で、ここで句切れとなる。土地を人に見立てて語りかける表現である。
 三句「大船に」は、行幸の一行が乗る大きな船をいう。
 四句「真梶しじ貫き」は、櫂を船の両側にびっしりと取り付けて、の意である。「真梶」の「真」は美称で、「しじ」は数多く隙間なくの意を表す。大船を漕ぎ出す勇壮な姿を描く、万葉集によく見られる表現である。
 結句「またかへり見む」は、また戻って来て見よう、という意志で結ぶ。「む」は意志の助動詞である。本巻の第千七百二十首の結句「いつかへり見む」、第千七百三十三首の結句「またかへり見つ」と、「かへり見」の語でつながっている。

まかぢ:船の左右にそろえた櫂、「真」は美称
しじぬく:櫂などを数多く取り付ける
かへりみる:戻って来て見る、振り返って見る
出典
万葉集
前の歌
妹がため我れ玉求む沖辺なる 白玉寄せ来沖つ白波
次の歌
南部の浦潮な満ちそね鹿島なる 釣りする海人を見て帰り来む