- 歌の意味
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永遠に夏と冬とがいっしょに過ぎて行くからなのか。皮衣を着ながら扇を手放さない、山に住む人は。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1682
詞書「忍壁皇子に献る歌一首 仙人の形を詠む」
忍壁皇子のもとにあった仙人の絵を見て、皮衣を着ながら扇も手放さない姿に、山に住む仙人の世界では夏と冬とが同時にめぐっているのかと興じた歌である。絵に描かれた奇妙な姿を、神仙の世界の不思議として機知的にとらえている。
詞書に「仙人の形を詠む」とあり、忍壁皇子に献上された仙人画に添えた歌と考えられる。神仙思想への関心が宮廷に広まっていたことを示す一首である。
作者の柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。本歌は柿本人麻呂歌集から採られたもので、この歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が集めた他の人の作とが含まれると考えられている。忍壁皇子は天武天皇の皇子で、大宝律令の撰定に携わった人物である。
初句「とこしへに」は、永遠に、いつまでも、の意で、仙人の住む不老不死の世界を示す。
二句「夏冬行けや」は、夏と冬とがともに過ぎて行くからか、の意で、已然形に「や」が付いて疑問の条件を表す。ここで句切れとなる。
三句「裘」は、冬の寒さを防ぐ獣の皮の衣をいう。
四句「扇放たぬ」は、夏の道具である扇を手放さない、の意である。三句の冬の皮衣と四句の夏の扇が対をなし、二句の「夏冬」を具体的に示している。
結句「山に住む人」は、山に住む人すなわち仙人を指し、体言止めで結ぶ。不思議な姿の主を最後に明かす倒置となっている。
かはごろも:獣の皮で作った衣
あふぎ:扇
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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後れ居て我が恋ひ居れば白雲の たなびく山を今日か越ゆらむ
- 次の歌
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妹が手を取りて引き攀ぢふさ手折り 我がかざすべく花咲けるかも