妹が手を取りて引き攀ぢふさ手折り
我がかざすべく花咲けるかも
- 歌の意味
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恋人の手を取るように枝を手に取って引き寄せ、どっさりと手折って、私が髪に挿すのにちょうどよいほどに、花が咲いていることだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1683
詞書「舎人皇子に献る歌二首」
枝を引き寄せて花をたっぷりと手折り、髪に挿して飾るのにふさわしいほど花が咲いていると喜ぶ歌である。枝を取る動作を恋人の手を取ることになぞらえ、花への親しみと華やぎを感じさせる。
舎人皇子に献った歌二首の一首目である。花の盛りをたたえ、皇子のもとでの宴などで披露されたものと考えられる。
作者の柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。本歌は柿本人麻呂歌集から採られたもので、この歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が集めた他の人の作とが含まれると考えられている。舎人皇子は天武天皇の皇子で、日本書紀の編纂を主宰した人物である。
初句「妹が手を」は、「取る」を導く表現で、枝を手に取ることを恋人の手を取ることになぞらえている。
二句「取りて引き攀ぢ」は、手に取って引き寄せ、の意である。
三句「ふさ手折り」は、どっさりと手折って、の意で、「ふさ」は数多くの意を表す。本巻の第千七百四首も同じく舎人皇子に献った歌で、初句を「ふさ手折り」としている。
四句「我がかざすべく」は、私が髪に挿して飾るのにふさわしく、の意である。
結句「花咲けるかも」は、花が咲いていることだ、の意で、存続の「り」の連体形「る」に詠嘆の「かも」が付く。
よづ:枝などをつかんで引き寄せる
たをる:手で折り取る
かざす:花や枝を髪や冠に挿して飾る
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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とこしへに夏冬行けや裘 扇放たぬ山に住む人
- 次の歌
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春山は散り過ぎぬとも三輪山は いまだふふめり君待ちかてに