彦星のかざしの玉の妻恋ひに
乱れにけらしこの川の瀬に
- 歌の意味
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彦星の髪飾りの玉が、妻を恋い慕うあまりに乱れ散ったらしい。この川の瀬に。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1686
詞書は前の歌に続き「泉川の辺にして間人宿禰が作る歌二首」
川の瀬に散る白いしぶきを、彦星が織女を恋い慕うあまりに髪飾りの玉を乱れ散らしたものと見立てた歌である。地上の川を天の川に重ね、七夕の伝説を取り入れた華やかな見立てとなっている。
泉川のほとりで間人宿禰が作った二首の二首目である。前歌で問いかけた瀬の乱れを、この歌で七夕の伝説によって解き明かす構成になっている。
作者の間人宿禰は間人氏の人物であるが、名は伝わらない。間人大浦と同一の人物とする説もある。
初句「彦星の」は、牽牛星をいう。天の川をはさんで織女と年に一度逢う星である。
二句「かざしの玉の」は、髪飾りに挿した玉の、の意である。
三句「妻恋ひに」は、妻を恋い慕うために、の意で、乱れの理由を示す。
四句「乱れにけらし」は、乱れ散ったらしい、の意で、ここで句切れとなる。前歌第千六百八十五首の「散り乱れたる」を受け、本巻の第千六百七十一首の「潮干にけらし」と同じ「にけらし」の推量の形をとる。
結句「この川の瀬に」は、乱れ散った場所を最後に示す倒置である。前歌の初句「川の瀬の」と呼応し、二首が川の瀬で首尾を結んでいる。
ひこほし:牽牛星、七夕伝説の男星
かざし:髪や冠に挿す花や飾り
つまごひ:妻や恋人を恋い慕うこと
- 作者
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間人宿禰
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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川の瀬のたぎつを見れば玉藻かも 散り乱れたる川の常かも
- 次の歌
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白鳥の鷺坂山の松蔭に 宿りて行かな夜も更けゆくを