家人の使ひにあらし春雨の
避くれど我れを濡らさく思へば
- 歌の意味
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この春雨は家の人からの使いであるらしい。避けても避けても私を濡らすことを思うと。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1697
詞書は前の歌に続き「名木川にして作る歌三首」
避けても避けても自分を濡らす春雨を、家人が遣わした使いに違いないと見立てた歌である。しつこく降る雨に家からの便りを重ねる機知がある。
名木川で作った歌三首の二首目である。前歌の家人への思いを受け、春雨そのものを家人の使いと見なしている。
作者の柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。本歌は柿本人麻呂歌集から採られたもので、この歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が集めた他の人の作とが含まれると考えられている。
初句「家人の」は、家にいる妻や家族をいう。
二句「使ひにあらし」は、使いであるらしい、の意で、「らし」は根拠のある推量を表す。ここで句切れとなる。
三句「春雨の」は、前歌第千六百九十六首の三句「春雨に」を受け、雨を主語として立てている。
四句「避くれど我れを」は、避けるけれども私を、の意である。
結句「濡らさく思へば」は、濡らすことを思うと、の意で、「濡らさく」は「濡らす」のク語法である。二句の推量の根拠を最後に示している。
いへびと:家にいる家族、妻
よく:避ける
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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衣手の名木の川辺を春雨に 我れ立ち濡ると家思ふらむか
- 次の歌
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あぶり干す人もあれやも家人の 春雨すらを間使ひにする