ふさ手折り多武の山霧繁みかも
細川の瀬に波の騒ける
- 歌の意味
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多武の山の霧が深く立ちこめているからだろうか、細川の瀬に波が騒いでいる。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1704
詞書「舎人皇子に献る歌二首」
細川の瀬に波が騒ぐのを見て、上流の多武の山に霧が深く立ちこめているからだろうかと推し量る歌である。目の前の川の様子から、見えない山の気配を思いやっている。
舎人皇子に献った歌二首の一首目である。多武の山は奈良県桜井市の多武峰で、細川はそこから飛鳥へと流れ下る川である。
作者の柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。本歌は柿本人麻呂歌集から採られたもので、この歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が集めた他の人の作とが含まれると考えられている。舎人皇子は天武天皇の皇子で、日本書紀の編纂を主宰した人物である。
初句「ふさ手折り」は、多武にかかる枕詞である。枝をどっさり手折ってたわめる意から「たむ」にかかるとされる。本巻の第千六百八十三首の三句にも「ふさ手折り」とあり、ともに舎人皇子に献った歌である。
二句「多武の山霧」は、多武峰にかかる霧をいう。
三句「繁みかも」は、深いからだろうか、の意で、「み」は原因を表す接尾語、「かも」は疑問の係助詞で、結句の「騒ける」と係り結びをなす。
四句「細川の瀬に」は、多武峰から流れ下る川の瀬を示す。
結句「波の騒ける」は、波が騒いでいる、の意で、存続の「り」の連体形「る」で三句の「かも」を受けて結ぶ。
やまきり:山にかかる霧
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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雲隠り雁鳴く時は秋山の 黄葉片待つ時は過ぐれど
- 次の歌
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冬こもり春へを恋ひて植ゑし木の 実になる時を片待つ我れぞ