冬こもり春へを恋ひて植ゑし木の
実になる時を片待つ我れぞ
- 歌の意味
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春の訪れを待ち焦がれて植えた木が、実を結ぶ時を、ひたすら待っている私であるよ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1705
詞書は前の歌に続き「舎人皇子に献る歌二首」
春を待ち望んで植えた木が実を結ぶ時を、ひたすら待っていると詠む歌である。木の成長に、自分の努力が報われ、皇子の恩顧を受ける時を待つ心を託したものと解されている。
舎人皇子に献った歌二首の二首目である。
作者の柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。本歌は柿本人麻呂歌集から採られたもので、この歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が集めた他の人の作とが含まれると考えられている。舎人皇子は天武天皇の皇子で、日本書紀の編纂を主宰した人物である。
初句「冬こもり」は、春にかかる枕詞である。冬の間こもっていたものが春に現れ出る意からとされる。
二句「春へを恋ひて」は、春のころを恋い慕って、の意である。
三句「植ゑし木の」は、植えた木の、の意で、「し」は過去の助動詞である。
四句「実になる時を」は、実を結ぶ時を、の意で、願いがかなう時をたとえている。
結句「片待つ我れぞ」は、ひたすら待っている私であるよ、の意で、係助詞「ぞ」で強く言い切る。本巻の第千七百三首の「黄葉片待つ」と同じ「片待つ」の語を用いている。
はるへ:春のころ
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ふさ手折り多武の山霧繁みかも 細川の瀬に波の騒ける
- 次の歌
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ぬばたまの夜霧は立ちぬ衣手の 高屋の上にたなびくまでに