天の原雲なき宵にぬばたまの
夜渡る月の入らまく惜しも
- 歌の意味
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大空に雲ひとつない宵に、夜空を渡って行く月が沈んでしまうのが惜しい。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1712
詞書「筑波山に登りて月を詠む一首」
雲ひとつない宵の大空を渡る月が、やがて山の端に沈んでしまうのを惜しむ歌である。筑波山の頂から仰ぐ、澄みきった夜空の広がりが感じられる。
詞書に筑波山に登って月を詠んだとあるが、作者は記されていない。筑波山は現在の茨城県つくば市にある山である。本巻の第千六百九十一首の結句「隠らく惜しも」と同じく、沈む月を惜しむ結句をもつ。
初句「天の原」は、広々とした大空をいう。
二句「雲なき宵に」は、雲ひとつない宵に、の意で、月を惜しむ前提となる澄んだ空を示す。
三句「ぬばたまの」は、夜にかかる枕詞で、本巻の第千七百六首の初句にも見える。
四句「夜渡る月の」は、夜空を渡って行く月の、の意である。
結句「入らまく惜しも」は、沈んでしまうことが惜しい、の意で、「入らまく」は「入る」のク語法である。本巻の第千六百九十一首の「隠らく惜しも」と同じ形をとっている。
あまのはら:広々とした大空
いる:月や日が山の端などに沈む
- 出典
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万葉集
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百伝ふ八十の島廻を漕ぎ来れど 粟の小島は見れど飽かぬかも
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滝の上の三船の山ゆ秋津辺に 来鳴き渡るは誰れ呼子鳥