落ちたぎち流るる水の岩に触れ
淀める淀に月の影見ゆ
- 歌の意味
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激しく落ちて逆巻きながら流れる水が、岩に当たって淀んでいる、その淀みに月の光が映って見える。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1714
詞書は前の歌に続き「芳野離宮に幸す時の歌二首」
激しく落ちて逆巻く吉野川の水が岩に当たって淀んだところに、月の光が静かに映っていると詠む歌である。激流の動と淀みの静、水の音と月の光とが対比された、鮮やかな叙景歌である。
芳野離宮行幸の歌二首の二首目で、左注に右二首は作者未詳とある。前歌が昼の山と鳥を詠むのに対し、この歌は夜の川と月を詠み、二首で吉野の昼と夜とが描き分けられている。
初句「落ちたぎち」は、激しく落ちて逆巻き、の意である。
二句「流るる水の」は、流れる水が、の意で、初句の激しさを受ける。
三句「岩に触れ」は、岩に当たって、の意である。
四句「淀める淀に」は、淀んでいる淀みに、の意で、「淀む」と「淀」を重ねて、流れの静まった所を強調している。
結句「月の影見ゆ」は、月の光が映って見える、の意である。本巻の第千七百一首の「月渡る見ゆ」と同じく、「見ゆ」で結んでいる。
たぎつ:水が激しく逆巻いて流れる
よど:川の流れが滞って深くなったところ
かげ:光、またその光に映る姿
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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滝の上の三船の山ゆ秋津辺に 来鳴き渡るは誰れ呼子鳥
- 次の歌
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楽浪の比良山風の海吹けば 釣りする海人の袖返る見ゆ