楽浪の比良山風の海吹けば
釣りする海人の袖返る見ゆ
- 歌の意味
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楽浪の比良の山から吹きおろす風が湖の上を吹くと、釣りをする海人の袖がひるがえるのが見える。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1715
詞書「槐本の歌一首」
比良山から吹きおろす風が琵琶湖の上を吹き渡り、釣りをする海人の袖がひるがえるのを見て詠む歌である。風の動きを海人の袖によってとらえた、明快な叙景歌である。
楽浪は琵琶湖西南岸一帯の古称で、比良山は滋賀県の琵琶湖西岸に連なる山である。本巻の第千六百六十九首第千六百七十首に詠まれた紀伊の海の「釣りする海人」が、ここでは近江の湖の上に描かれている。
作者の槐本は伝未詳である。槐本を柿本と同じ氏とみて、柿本人麻呂を指すとする説もあるが、確かではない。
初句「楽浪の」は、琵琶湖西南岸一帯の古称で、比良にかかる。
二句「比良山風の」は、比良の山から吹きおろす風をいう。
三句「海吹けば」は、湖を吹くと、の意で、琵琶湖を「海」と呼んでいる。
四句「釣りする海人の」は、本巻の第千六百六十九首第千六百七十首の四句「釣りする海人を」と同じ語を用いている。
結句「袖返る見ゆ」は、袖がひるがえるのが見える、の意で、目に見えない風を袖の動きによって示している。
ささなみ:琵琶湖西南岸一帯の古称
やまかぜ:山から吹きおろす風
かへる:ひるがえる、裏返る
- 作者
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槐本
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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落ちたぎち流るる水の岩に触れ 淀める淀に月の影見ゆ
- 次の歌
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白波の浜松の木の手向けくさ 幾代までにか年は経ぬらむ