あさりする人とを見ませ草枕
旅行く人に我が名は告らじ
- 歌の意味
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私のことは、ただ漁をしている者と見てください。旅をして行く人に、私の名は申しません。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1727
詞書「和ふる歌一首」
前歌で名を問われた海人の娘が、私のことはただ漁をする者と思ってください、旅の人に名は明かしませんと、きっぱり断る歌である。軽やかに言い寄る旅人を、たしなめるように受け流している。
題詞に「和ふる歌」とあり、前歌への答えの歌である。作者名は記されていないが、海人娘子の立場で詠まれている。
初句「あさりする」は、魚や貝をとる、の意である。
二句「人とを見ませ」は、そういう人と見てください、の意で、「を」は語調を強める間投助詞、「ませ」は尊敬の命令である。ここで句切れとなる。
三句「草枕」は、旅にかかる枕詞である。
四句「旅行く人に」は、旅をして行く人に、の意で、行きずりの相手であることを示す。
結句「我が名は告らじ」は、私の名は告げまい、の意で、「じ」は打消の意志を表す。前歌第千七百二十六首の「汝が名告らさね」を受け、同じ「名」と「告る」の語で拒んでいる。
あさる:海辺で魚や貝などをとる
のる:名を告げる、口に出して言う
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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難波潟潮干に出でて玉藻刈る 海人娘子ども汝が名告らさね
- 次の歌
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慰めて今夜は寝なむ明日よりは 恋ひかも行かむこゆ別れなば