慰めて今夜は寝なむ明日よりは
恋ひかも行かむこゆ別れなば
- 歌の意味
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心を慰めて今夜は寝よう。明日からは、恋しく思いながら旅を行くことになるのだろうか。ここから別れて行ってしまえば。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1728
詞書「石川卿の歌一首」
今夜はせめて心を慰めて寝よう、ここで別れてしまえば、明日からは恋しさを抱いて旅を行くことになるのだろうと詠む歌である。別れを前にした夜の名残惜しさがこめられている。
前の第千七百二十六首第千七百二十七首の難波の海人娘子との問答に続けて置かれており、旅先で出会った人との別れの歌として読める配列となっている。
作者の石川卿は、誰を指すかについて定説を見ない。「卿」は身分の高い貴人を敬って呼ぶ語で、石川年足や石川宮麻呂などに比定する説がある。
初句「慰めて」は、心を慰めて、の意である。
二句「今夜は寝なむ」は、今夜は寝よう、の意で、「な」は強意、「む」は意志を表す。ここで句切れとなる。
三句「明日よりは」は、明日からは、の意で、二句の「今夜」と対比される。
四句「恋ひかも行かむ」は、恋しく思いながら行くのだろうか、の意で、係助詞「かも」と「む」が係り結びをなす。
結句「こゆ別れなば」は、ここから別れたならば、の意で、「こゆ」はここから、の意である。四句の理由となる条件を最後に置く倒置となっている。
なぐさむ:心を和らげる、気を晴らす
- 作者
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石川卿
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あさりする人とを見ませ草枕 旅行く人に我が名は告らじ
- 次の歌
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暁の夢に見えつつ梶島の 磯越す波のしきてし思ほゆ