思ひつつ来れど来かねて三尾の崎
真長の浦をまたかへり見つ
- 歌の意味
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心ひかれながらここまで来たけれども、先へ進みかねて、三尾の崎の真長の浦を、また振り返って見てしまった。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1733
詞書は前の歌に続き「碁師の歌二首」
美しい三尾の崎の真長の浦に心ひかれ、進もうとしても先へ行きかねて、また振り返って見てしまったと詠む歌である。土地への愛着を、振り返るしぐさによって表している。
碁師の歌二首の二首目である。三尾の崎は滋賀県高島市の琵琶湖西岸の岬で、真長の浦はその付近の浦とされる。
作者の碁師は伝未詳である。碁師は囲碁に巧みな人の意で、名は伝わらない。
初句「思ひつつ」は、心ひかれながら、の意である。
二句「来れど来かねて」は、来たけれど先へ進みかねて、の意で、「来」を重ねて足の進まない様子を表す。
三句「三尾の崎」は、岬の名を示す。
四句「真長の浦を」は、振り返って見る浦の名を示す。
結句「またかへり見つ」は、また振り返って見てしまった、の意で、「つ」は完了の助動詞である。本巻の第千六百六十八首の結句「またかへり見む」は同じ「またかへり見」を意志の形で結び、本歌は完了の形で結んでいる。
きかぬ:来ることができない、先へ進みかねる
かへりみる:振り返って見る
- 作者
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碁師
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大葉山霞たなびきさ夜更けて 我が舟泊てむ泊り知らずも
- 次の歌
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高島の安曇の港を漕ぎ過ぎて 塩津菅浦今か漕ぐらむ