今日の日にいかにかしかむ筑波嶺に
昔の人の来けむその日も
- 歌の意味
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今日の日の楽しさに、どうして及ぶだろうか。昔の人が筑波嶺にやって来たというその日であっても。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1754
詞書は前の歌に続き「検税使大伴卿の筑波山に登る時の歌一首 并せて短歌」の反歌
昔の人が筑波嶺に登った日であっても、今日の楽しさには及ばないだろうと、この日の登山の喜びをたたえる歌である。客人を案内して登った晴れやかな一日への満足が表れている。
本巻の第千七百五十三首の長歌に添えられた反歌である。長歌は、筑波山を見たいと訪れた大伴卿を暑い中案内して頂に登ると、男神も女神も恵みを与え、雲に覆われがちな筑波嶺をはっきり照らして国のすばらしさを見せてくれたので、衣の紐を解いてくつろいで遊んだと詠んでいる。検税使大伴卿が誰を指すかについては、大伴旅人とする説や大伴道足とする説などがあり、定説を見ない。
作者の高橋虫麻呂は奈良時代前期の歌人で、藤原宇合が常陸守であった頃にその下僚として仕えたと考えられている。各地の伝説や東国の風土を題材とした長歌に優れる。本歌は高橋虫麻呂歌集から採られたもので、虫麻呂自身の作を中心とすると考えられている。
初句「今日の日に」は、今日という日に、の意である。
二句「いかにかしかむ」は、どうして及ぶだろうか、いや及ばない、の意の反語である。係助詞「か」を受けて、推量の「む」の連体形で結ぶ係り結びとなる。
三句「筑波嶺に」は、筑波山に、の意である。
四句「昔の人の」は、筑波山に登った昔の人々を指す。
結句「来けむその日も」は、やって来たというその日も、の意で、「けむ」は過去の伝聞や推量を表す。倒置によって、比べる相手を後に置いている。
しく:及ぶ、匹敵する
つくばね:筑波山
- 作者
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高橋虫麻呂(虫麻呂歌集所出)
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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い行き逢ひの坂のふもとに咲きををる 桜の花を見せむ子もがも
- 次の歌
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かき霧らし雨の降る夜をほととぎす 鳴きて行くなりあはれその鳥