倉橋の山を高みか夜隠りに
出で来る月の片待ちかたき
- 歌の意味
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倉橋の山が高いからだろうか、夜が更けてから出てくる月を、ひたすら待つのはつらいことよ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌 1763
詞書「沙弥女王の歌一首」
倉橋の山が高いためか、夜更けになってようやく出てくる月を待ちわびるつらさを詠む歌である。月の出の遅さを山の高さのせいと推し量り、待つ心のもどかしさを表している。
左注には、この歌はすでに間人宿禰大浦の歌の中に見えるが、結句が異なっており、また作者もどちらと正しく定めがたいので重ねて載せる、と記されている。巻第三の第二百九十首に間人宿禰大浦の歌として、結句を「光乏しき」とするほぼ同じ歌が収められている。倉橋の山は奈良県桜井市倉橋の山で、音羽山とする説がある。
作者の沙弥女王は伝未詳である。
初句「倉橋の」は、奈良県桜井市倉橋の地名を示す。
二句「山を高みか」は、山が高いからだろうか、の意である。「を〜み」の形で原因を表し、「か」は疑問を表す。
三句「夜隠りに」は、夜が更けてから、の意である。
四句「出で来る月の」は、山から出てくる月の、の意である。
結句「片待ちかたき」は、ひたすら待つのがつらい、の意である。巻第三の第二百九十首では結句が「光乏しき」となっており、本歌は月を待つ心の側から詠んでいる。二句の「か」を受けて連体形で結んでいる。
よごもり:夜が更けること、夜深く
かたまつ:ひたすら待つ
- 作者
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沙弥女王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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明日の宵逢はざらめやもあしひきの 山彦響め呼びたて鳴くも
- 次の歌
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天の川霧立ちわたる今日今日と 我が待つ君し舟出すらしも