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豊国の香春は我家紐児に
いつがり居れば香春は我家

歌の意味
豊国の香春はわが家だ。紐児と結ばれて暮らしているので、香春はわが家だ。
鑑賞
巻第九 相聞 1767

詞書「抜気大首、筑紫に任けらゆる時に、豊前国の娘子紐児を娶きて作る歌三首」
 豊前国の香春の地で紐児と結ばれて暮らしているので、この香春こそがわが家だと喜ぶ歌である。同じ句を初めと終わりに繰り返し、弾むような明るい調子で新しい妻を得た喜びを表している。
 詞書によれば、抜気大首が筑紫に赴任した折、豊前国の娘子紐児を妻として作った歌三首の一首目である。香春は現在の福岡県田川郡香春町である。
 作者の抜気大首は伝未詳である。詞書によれば、筑紫に赴任した折に、豊前国の娘子紐児を妻としたという。

 初句「豊国の」は、豊前、豊後を合わせた国の名で、ここでは豊前を指す。
 二句「香春は我家」は、香春こそわが家だ、の意で、ここで句切れとなる。結句で同じ句を繰り返している。
 三句「紐児に」は、妻とした娘の名である。
 四句「いつがり居れば」は、結ばれて暮らしているので、の意である。「いつがる」は、つながる、結ばれる、の意とされる。
 結句「香春は我家」は、二句をそのまま繰り返した句である。同じ句で歌を始め、同じ句で閉じることで、喜びの弾みを強めている。

わぎへ:わが家
いつがる:つながる、結ばれる
作者
抜気大首
出典
万葉集
前の歌
我妹子は釧にあらなむ左手の 我が奥の手に巻きて去なましを
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石上布留の早稲田の穂には出でず 心のうちに恋ふるこのころ