かくのみし恋ひしわたればたまきはる
命も我れは惜しけくもなし
- 歌の意味
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こんなにも恋い続けているので、命さえも、私は少しも惜しくはない。
- 鑑賞
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巻第九 相聞 1769
詞書は前の歌に続き「抜気大首、筑紫に任けらゆる時に、豊前国の娘子紐児を娶きて作る歌三首」
これほど恋い続けていると、命さえも惜しくないと、激しい恋心を詠む歌である。命を投げ出してもよいという言葉で、思いの深さを表している。
抜気大首の歌三首の三首目である。一首目の喜び、二首目の忍ぶ恋に続き、命も惜しくないという強い思いで一連を結んでいる。
作者の抜気大首は伝未詳である。詞書によれば、筑紫に赴任した折に、豊前国の娘子紐児を妻としたという。
初句「かくのみし」は、これほどまでに、の意である。「し」は強めの助詞である。
二句「恋ひしわたれば」は、恋い続けているので、の意である。「わたる」は、ある状態が長く続くことを表す。
三句「たまきはる」は、「命」にかかる枕詞である。
四句「命も我れは」は、命さえも私は、の意である。
結句「惜しけくもなし」は、少しも惜しくはない、の意である。「惜しけく」は「惜し」の名詞化した形で、惜しいことも、の意となる。
こひわたる:恋い慕い続ける
- 作者
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抜気大首
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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石上布留の早稲田の穂には出でず 心のうちに恋ふるこのころ
- 次の歌
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みもろの神の帯ばせる泊瀬川 水脈し絶えずは我れ忘れめや