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たらちねの母の命の言にあらば
年の緒長く頼め過ぎむや

歌の意味
母上のお言葉であったなら、長い年月、頼みに思わせたままで過ごすことがあるだろうか。
鑑賞
巻第九 相聞 1774

詞書「舎人皇子に献る歌二首」
 母の言葉であったなら、長い年月あてにさせたまま過ごすようなことはないだろうと、約束を果たさない相手を恨む歌である。女性の立場で、待たされ続ける嘆きを詠んでいると考えられている。
 詞書によれば、舎人皇子に献った歌二首の一首目である。舎人皇子は天武天皇の皇子で、日本書紀の編纂を主宰した人物である。
 作者の柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。本歌は柿本人麻呂歌集から採られたもので、この歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が集めた他の人の作とが含まれると考えられている。

 初句「たらちねの」は、「母」にかかる枕詞である。
 二句「母の命の」は、母上の、の意で、「命」は敬意を込めて呼ぶ語である。
 三句「言にあらば」は、お言葉であったならば、の意である。
 四句「年の緒長く」は、長い年月、の意である。「年の緒」は、年月が長く続くことを緒にたとえた語である。
 結句「頼め過ぎむや」は、頼みに思わせたままで過ごすことがあろうか、いやない、の意の反語である。「頼む」は下二段活用で、あてにさせる意を表す。

としのを:長く続く年月
たのむ:あてにさせる、期待させる
作者
柿本人麻呂
出典
万葉集
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神なびの神寄せ板にする杉の 思ひも過ぎず恋の繁きに
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