明日よりは我れは恋ひむな名欲山
岩踏み平し君が越え去なば
- 歌の意味
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明日からは、私はあなたを恋しく思うだろう。名欲山の岩を踏みならして、あなたが越えて行ってしまったならば。
- 鑑賞
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巻第九 相聞 1778
詞書「藤井連の遷任して京に上る時に、娘子の贈る歌一首」
名欲山の岩を踏みしめてあなたが越えて行ってしまえば、明日からは恋しく思い続けるだろうと、別れを惜しむ歌である。険しい山道を越えて去る姿を思い描き、残される悲しみを表している。
詞書によれば、藤井連が任を終えて都へ上る時に、娘子が贈った歌である。娘子の名は伝わらない。名欲山は豊後国(現在の大分県竹田市付近)の山とする説がある。本巻の第千七百七十一首と同じく、別れの後に恋い慕う心を「君が越え去なば」の結句で結んでいる。
初句「明日よりは」は、明日からは、の意である。
二句「我れは恋ひむな」は、私は恋しく思うだろうな、の意で、「な」は詠嘆を表す。ここで句切れとなる。
三句「名欲山」は、旅人が越えて行く山の名を示す。
四句「岩踏み平し」は、岩を踏みならして、の意で、険しい山道を行くさまを表す。次歌の四句も同じ句である。
結句「君が越え去なば」は、あなたが越えて行ってしまったならば、の意である。本巻の第千七百七十一首と同じ結句で、ともに旅立つ人を見送る者の嘆きを詠む。
ふみならす:踏んで平らにする、踏みしめる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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君なくはなぞ身装はむ櫛笥なる 黄楊の小櫛も取らむとも思はず
- 次の歌
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命をしま幸くもがも名欲山 岩踏み平しまたまたも来む