命をしま幸くもがも名欲山
岩踏み平しまたまたも来む
- 歌の意味
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命さえ無事であってほしい。そうすれば、名欲山の岩を踏みならして、またやって来よう。
- 鑑賞
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巻第九 相聞 1779
詞書「藤井連の和ふる歌一首」
命さえ無事であれば、名欲山の岩を踏みしめて、またきっとやって来ようと、娘子に応える歌である。別れを嘆く娘子に再会を約束して慰めている。
前歌の第千七百七十八首の娘子の歌に答えた歌で、三句、四句「名欲山岩踏み平し」を同じくしながら、娘子の「越え去なば」に対して「またまたも来む」と、去る道を再び来る道に転じて答えている。
作者の藤井連が誰を指すかについては、葛井連広成とする説などがあり、定説を見ない。藤井は葛井とも記され、連は姓の一つである。
初句「命をし」は、命さえ、の意で、「し」は強めの助詞である。
二句「ま幸くもがも」は、無事であってほしい、の意で、「もがも」は願望を表す。ここで句切れとなる。
三句「名欲山」は、前歌の三句と同じ山の名である。
四句「岩踏み平し」は、岩を踏みならして、の意で、前歌の四句と同じ句である。
結句「またまたも来む」は、またきっとやって来よう、の意で、「む」は意志を表す。前歌の結句「君が越え去なば」の去る道を、再び来る道へと反転させて答えている。
ふみならす:踏んで平らにする、踏みしめる
- 作者
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藤井連
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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明日よりは我れは恋ひむな名欲山 岩踏み平し君が越え去なば
- 次の歌
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海つ道のなぎなむ時も渡らなむ かく立つ波に船出すべしや