海神のいづれの神を祈らばか
行くさも来さも船の早けむ
- 歌の意味
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海の神のうち、どの神に祈ったならば、行きも帰りも船が速く進むのだろうか。
- 鑑賞
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巻第九 相聞 1784
詞書「入唐使に贈る歌一首」
唐へ渡る使いのために、海の神々のうちどの神に祈れば、行きも帰りも船が速く無事に進むのだろうかと案じる歌である。危険な航海に出る人の無事を願う、送る者の切実な思いが表れている。
詞書によれば、遣唐使に贈った歌である。左注には、海を渡った年は明らかでない、と記されている。作者は記されていない。
初句「海神の」は、海の神の、の意である。
二句「いづれの神を」は、どの神に、の意で、海には多くの神がいると考えられていた。
三句「祈らばか」は、祈ったならば、の意である。係助詞「か」が疑問を表す。
四句「行くさも来さも」は、行く時も帰る時も、の意である。「さ」は、〜する時、の意の接尾語である。
結句「船の早けむ」は、船が速く進むだろうか、の意である。三句の「か」を受けて、推量の「む」の連体形で結ぶ係り結びとなる。
わたつみ:海の神、また海
ゆくさ:行く時、行きがけ
くさ:来る時、帰りがけ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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松返りしひてあれやは三栗の 中上り来ぬ麻呂といふ奴
- 次の歌
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み越道の雪降る山を越えむ日は 留まれる我れを懸けて偲はせ