玉津島磯の浦廻の真砂にも
にほひて行かな妹も触れけむ
- 歌の意味
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玉津島の磯の入り江の細かな砂にも、衣を染めて行こう。妻もかつて触れたであろうから。
- 鑑賞
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巻第九 挽歌 1799
詞書は前の歌に続き「紀伊国にして作る歌四首」
亡き妻もかつて触れたであろう玉津島の磯の砂に、自分も衣を染めて行こうと詠む歌である。妻の触れた砂に身を寄せることで、亡き人とのつながりを求める心を表している。
紀伊国で亡き妻をしのぶ歌四首の四首目である。玉津島は現在の和歌山県和歌山市和歌浦の地で、景勝の地として知られる。
作者の柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。本歌は柿本人麻呂歌集から採られたもので、この歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が集めた他の人の作とが含まれると考えられている。
初句「玉津島」は、和歌浦の島の名を示す。
二句「磯の浦廻の」は、磯の入り江の、の意である。本巻の第千六百七十一首の四句「磯の浦廻を」と同じ語で、紀伊の海辺を詠む。
三句「真砂にも」は、細かな砂にも、の意である。
四句「にほひて行かな」は、衣を染めて行こう、の意である。「にほふ」は色に染まることを表し、「な」は自分の意志を表す。ここで句切れとなる。
結句「妹も触れけむ」は、妻も触れたであろう、の意で、「けむ」は過去の推量を表す。倒置によって、砂に染まろうとする理由を結句に置いている。
うらみ:入り江、浦のめぐり
まなご:細かな砂
にほふ:色に染まる
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いにしへに妹と我が見しぬばたまの 黒牛潟を見れば寂しも
- 次の歌
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古への信太壮士の妻問ひし 菟原娘子の奥城ぞこれ