- 歌の意味
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紫草が根を張る横野の春の野では、あなたのことを心にかけるように鴬が鳴いている。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1825
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
紫草の根が広がる横野の春の野で、恋しい人を思わせるように鳴く鴬を詠んだ歌である。鴬の鳴き声を、君を心にかけて鳴く声と聞きなし、春の景の中に恋の思いを溶け込ませている。前歌で山野に広がった鴬の声が、この歌では横野という特定の野にしぼられ、そこに恋の情が添えられている。
初句「紫草の」は紫色の染料となる草、ムラサキである。春の野の植物として景を彩る。
二句「根延ふ横野の」は根を張り広げている横野の意である。「横野」は地名で、河内国(現在の大阪府)にあったとされる。
三句「春野には」は春の野では、の意である。「は」によって場所が取り立てられ、下の句の鴬の声へと続く。
四句「君を懸けつつ」は君を心にかけながらの意である。「つつ」は反復、継続を表し、鴬が絶えず君を思って鳴くかのように詠む。
結句「鴬鳴くも」は第千八百二十四首と同じ結句で、詠嘆をこめて言い収めている。
むらさき:ムラサキ科の草。根から紫の染料をとる
ねばふ:根が長く伸びて広がる
かく:心にかける。思いを寄せる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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冬こもり春さり来ればあしひきの 山にも野にも鴬鳴くも
- 次の歌
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春されば妻を求むと鴬の 木末を伝ひ鳴きつつもとな