春日なる羽がひの山ゆ佐保の内へ
鳴き行くなるは誰れ呼子鳥
- 歌の意味
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春日にある羽がいの山から佐保のあたりへと、鳴きながら飛んで行くのは誰を呼ぶ呼子鳥なのだろう。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1827
詞書は前の歌に続き「鳥を詠む」
春日の羽がいの山から佐保の方へ鳴きながら飛び去る呼子鳥を詠んだ歌である。鳴き声だけが聞こえる鳥に対して、誰を呼んでいるのかと問いかけ、「呼子鳥」という名前を生かして興趣を深めている。本巻の第千八百二十二首に続く呼子鳥の歌で、次歌でも呼子鳥が詠まれ、二首が対になっている。
初句「春日なる」は春日にあるの意で、奈良の都の東に広がる春日の地を示す。
二句「羽がひの山ゆ」の「羽がひの山」は春日山の一部とされる山で、「ゆ」は起点を表す格助詞である。
三句「佐保の内へ」は佐保のあたりへの意で、字余りの句である。佐保は平城京の北東の地で、鳥の行く先を示している。
四句「鳴き行くなるは」の「なる」は伝聞推定の助動詞「なり」の連体形で、姿は見えず声によって鳥の移動を知る様子を表す。
結句「誰れ呼子鳥」は、誰を呼ぶ呼子鳥かと問いかける言い方である。名前の「呼ぶ」を生かした表現で、次歌の第千八百二十八首へと呼子鳥の歌が続く。
はがひのやま:春日山の一部とされる山
よぶこどり:人を呼ぶように鳴く鳥。カッコウの類とされる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春されば妻を求むと鴬の 木末を伝ひ鳴きつつもとな
- 次の歌
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答へぬにな呼び響めそ呼子鳥 佐保の山辺を上り下りに