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梅の花咲き散り過ぎぬしかすがに
白雪庭に降りしきりつつ

歌の意味
梅の花は咲いて散り、盛りは過ぎてしまった。それなのに、白雪が庭にしきりに降り続いている。
鑑賞
巻第十 春雑歌 1834

詞書は前の歌に続き「雪を詠む」
 梅の花が咲いて散り終えたのに、なお庭に白雪が降りしきる様子を詠んだ歌である。散っていった白い梅の花と、降りしきる白雪とが重なり合い、季節の移ろいのずれがかえって美しい景を生み出している。前歌が梅に降る雪を詠んだのに対し、この歌は梅が散ったあとに降る雪を詠み、梅と雪の関係を時間の上で並べている。

 初句「梅の花」は前歌と同じ初句で、二首を梅と雪の取り合わせで結びつけている。
 二句「咲き散り過ぎぬ」の「ぬ」は完了の助動詞である。咲き、散り、盛りが過ぎたという時の経過を一気に述べ、ここで二句切れとなる。
 三句「しかすがに」はそうはいうもののの意で、本巻の第千八百三十二首と同じく逆接の要となる語である。
 四句「白雪庭に」は白い雪が庭にの意である。散った梅の花の白さと降る雪の白さとが重なっている。
 結句「降りしきりつつ」の「しきる」は絶え間なく続く意、「つつ」は継続を表し、降りやまない雪の景を余情とともに示している。

しきる:絶え間なく続く。しきりに降る
出典
万葉集
前の歌
梅の花降り覆ふ雪を包み持ち 君に見せむと取れば消につつ
次の歌
今さらに雪降らめやもかぎろひの 燃ゆる春へとなりにしものを