風交り雪は降りつつしかすがに
霞たなびき春さりにけり
- 歌の意味
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風に交じって雪は降り続いている。それでもやはり霞がたなびいて、春はやって来たのだった。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1836
詞書は前の歌に続き「雪を詠む」
風交じりの雪が降り続く中でも、霞がたなびいて確かに春が来ていることに気づいた歌である。冬の名残の雪と春の兆しの霞とを「しかすがに」で結び、季節の移り変わりの一瞬をとらえている。本巻の第千八百三十二首が春が来たのに雪が降ると詠んだのとは反対に、この歌は雪が降るのに春が来たと詠んでおり、同じ「しかすがに」を用いて構図を反転させている。
初句「風交り」は風に交じっての意である。冷たい風と雪という冬の名残の景を示す。
二句「雪は降りつつ」は第千八百三十二首の結句と同じ句である。前の歌では結びに置かれた句を、この歌では上に置き、構図を反転させている。
三句「しかすがに」は逆接の語で、本巻の第千八百三十二首、第千八百三十四首に続いて用いられ、雪の一連を貫く語となっている。
四句「霞たなびき」は霞がたなびいての意である。巻頭の第千八百十二首以来、春の兆しとされてきた霞がここでも春を告げている。
結句「春さりにけり」の「けり」は気づきの詠嘆を表す。雪の中にも春が来ていたことに改めて気づいた感動を示して結ぶ。
さる:季節や時がやって来る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今さらに雪降らめやもかぎろひの 燃ゆる春へとなりにしものを
- 次の歌
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山の際に鴬鳴きてうち靡く 春と思へど雪降りしきぬ