雪をおきて梅をな恋ひそあしひきの
山片付きて家居せる君
- 歌の意味
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雪をさしおいて梅を恋しがりなさるな。山に寄り添って住まいをしているあなたよ。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1842
詞書は前の歌に続き「雪を詠む」
前歌の、雪を梅の花と見まがったという歌に答え、山に住むあなたは雪をこそ賞でるべきで、梅を恋しがることはないと切り返した歌である。左注に「右二首問答」とあり、前歌の第千八百四十一首と問答をなす。山里に住む相手の境遇を踏まえた機知に富む応答で、二首で雪と梅の見立てをめぐるやりとりが完結している。
初句「雪をおきて」は雪をさしおいての意で、字余りの句である。前歌で梅に見立てられた雪を取り上げている。
二句「梅をな恋ひそ」は「な…そ」で禁止を表し、梅を恋しがるなの意である。前歌の見立てを打ち消すように答えている。
三句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
四句「山片付きて」は山に片寄って、山に寄り添っての意である。相手が山里に住んでいることを示す。
結句「家居せる君」は家を構えて住んでいるあなたの意で、呼びかけの形で結ぶ。倒置によって、禁止の言葉の相手を最後に示している。
かたづく:一方に寄る。寄り添う
いへゐ:家を構えて住むこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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山高み降り来る雪を梅の花 散りかも来ると思ひつるかも
- 次の歌
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昨日こそ年は果てしか春霞 春日の山に早立ちにけり