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青柳の糸のくはしさ春風に
乱れぬい間に見せむ子もがも

歌の意味
青柳の糸のような枝の美しさよ。春風に乱れないうちに、見せてやれる娘がいればよいのに。
鑑賞
巻第十 春雑歌 1851

詞書は前の歌に続き「柳を詠む」
 青柳の細い枝の美しさを、春風に乱れないうちに愛しい娘に見せたいと願う歌である。美しいものを見るにつけて、それを分かち合う相手を求める心が表れており、本巻の第千八百三十三首の梅の雪を君に見せたいという歌と趣向が通じている。見せる相手がいないという寂しさもほのかに感じられる。

 初句「青柳の」は芽吹いて青々とした柳のの意である。
 二句「糸のくはしさ」の「糸」は柳の細い枝を糸にたとえた語、「くはし」は細やかで美しい意である。体言止めで二句切れとなり、美しさに感嘆している。
 三句「春風に」は春風によっての意で、美しい枝が乱される恐れを示す。
 四句「乱れぬい間に」は乱れないうちにの意で、「い間」は間の意である。今この美しさを見せたいという急ぐ心を表す。
 結句「見せむ子もがも」の「もがも」は願望の終助詞である。見せてやれる娘がいればよいのにと願い、相手のいない寂しさをにじませて結ぶ。

いま:間。うち
出典
万葉集
前の歌
朝な朝な我が見る柳鴬の 来居て鳴くべく森に早なれ
次の歌
ももしきの大宮人のかづらける しだり柳は見れど飽かぬかも