我がかざす柳の糸を吹き乱る
風にか妹が梅の散るらむ
- 歌の意味
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私が髪に挿している柳の糸のような枝を吹き乱すこの風に、あの子の家の梅も散っているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1856
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
自分の髪に挿した柳の枝を吹き乱す風を感じて、同じ風に恋人の家の梅も散っているだろうかと思いやる歌である。身近な風から離れた恋人の家へと思いを馳せる構図で、柳と梅という春の二つの景物を、風によって自分と恋人とに結びつけている。柳の一連の余韻を花の一連に残す一首である。
初句「我がかざす」は私が髪に挿しているの意である。「かざす」は草木の花や枝を髪に挿す意で、本巻の第千八百五十二首の「かづらける」と通じる風俗を示す。
二句「柳の糸を」は柳の糸のような細い枝をの意で、第千八百五十一首の「青柳の糸」と同じ見立てである。
三句「吹き乱る」は吹き乱すの意で、次の「風」を修飾する。
四句「風にか妹が」の「か」は疑問の係助詞で、結句の「らむ」と係り結びをなす。「妹」は男性が恋人や妻を親しんで呼ぶ語である。
結句「梅の散るらむ」の「らむ」は現在推量で、四句の「か」の結びである。見えない恋人の家の梅を思いやって結ぶ。
かざす:草木の花や枝を髪に挿す
いも:男性が恋人や妻を親しんで呼ぶ語
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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桜花時は過ぎねど見る人の 恋ふる盛りと今し散るらむ
- 次の歌
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年のはに梅は咲けどもうつせみの 世の人我れし春なかりけり