能登川の水底さへに照るまでに
御笠の山は咲きにけるかも
- 歌の意味
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能登川の水底までも照り輝くほどに、御笠の山は花が咲いたことだ。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1861
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
御笠山に咲きそろった桜の花が、麓を流れる能登川の水底まで照らすほどであると詠んだ歌である。山一面の花の明るさを、川の水底に映る光としてとらえた点に、印象鮮やかな視覚の美がある。花の名を示さずに「御笠の山は咲きにけるかも」と山そのものが咲いたように言い、前歌の山吹から再び山を彩る花へと視野を広げている。
初句「能登川の」は春日山の南、御笠山のふもとを流れる川である。
二句「水底さへに」の「さへ」は添加を表し、水底までもの意となる。花の光が川の底にまで及ぶ様子を示す。
三句「照るまでに」は照り輝くほどにの意で、「までに」は程度を表す。
四句「御笠の山は」は奈良の春日にある三笠山である。花の名を言わず山を主語とする表現である。
結句「咲きにけるかも」は山が咲いたという大胆な言い方で、「けり」「かも」の詠嘆によって、山一面の花に気づいた感動を示して結ぶ。
みなそこ:水の底
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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花咲きて実はならねども長き日に 思ほゆるかも山吹の花
- 次の歌
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雪見ればいまだ冬なりしかすがに 春霞立ち梅は散りつつ