雪見ればいまだ冬なりしかすがに
春霞立ち梅は散りつつ
- 歌の意味
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雪を見ると、まだ冬である。それなのに春霞が立ち、梅の花は散り続けている。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1862
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
雪を見ればまだ冬なのに、春霞が立ち梅が散っている季節の交錯を詠んだ歌である。雪の一連に多く見られた「しかすがに」を用い、冬と春とが入り混じる早春の景を一首に収めている。雪、霞、梅という本巻の冒頭の一連の主題が一首の中にそろっており、春の初めの諸相を振り返るような位置にある。
初句「雪見れば」は雪を見るとの意で、「ば」は確定条件である。
二句「いまだ冬なり」はまだ冬であるの意で、ここで二句切れとなる。冬の名残を断定的に言い切っている。
三句「しかすがに」はそれなのにの意で、本巻の第千八百三十二首以来の逆接の語である。
四句「春霞立ち」は春霞が立っての意で、字余りの句である。春の兆しとしての霞を示す。
結句「梅は散りつつ」の「つつ」は継続を表す。第千八百三十四首の「梅の花咲き散り過ぎぬ」と同じく、散り続ける梅を示して結ぶ。
はるかすみ:春に立つ霞
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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能登川の水底さへに照るまでに 御笠の山は咲きにけるかも
- 次の歌
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去年咲きし久木今咲くいたづらに 地にか落ちむ見る人なしに