うち靡く春さり来らし山の際の
遠き木末の咲きゆく見れば
- 歌の意味
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春がやって来たらしい。山あいの遠くの梢が次々と咲いていくのを見ると。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1865
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
山あいの遠くの梢に次々と花が咲いていくのを見て、春の到来を知る歌である。遠景の梢に広がる花の彩りを「咲きゆく」ととらえ、春が次第に広がっていく時間の動きを表している。本巻の第千八百十九首の「うち靡く春立ちぬらし」と同じく、「うち靡く」で始めて春の到来を推し量り、下の句でその根拠を示す構成をとる。
初句「うち靡く」は「春」にかかる枕詞である。一連を通じて繰り返されてきた初句である。
二句「春さり来らし」の「らし」は根拠ある推定で、ここで二句切れとなる。倒置によって根拠は結句の後に示される。
三句「山の際の」は山あいのの意で、本巻の第千八百六十四首の「山の際照らす」と同じ山あいの景である。
四句「遠き木末の」は遠くの梢のの意である。遠景の木々をとらえ、春の広がりを示している。
結句「咲きゆく見れば」の「ゆく」は次第に進んでいく意、「ば」は確定条件である。倒置によって推定の根拠を最後に示して結ぶ。
こぬれ:梢
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしひきの山の際照らす桜花 この春雨に散りゆかむかも
- 次の歌
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雉鳴く高円の辺に桜花 散りて流らふ見む人もがも