春されば散らまく惜しき梅の花
しましは咲かずふふみてもがも
- 歌の意味
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春になると散ってしまうのが惜しい梅の花よ。しばらくは咲かずに、つぼみのままでいてほしい。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1871
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
咲けばやがて散ってしまう梅の花に、しばらくはつぼみのままでいてほしいと願う歌である。散ることを惜しむあまり、咲くこと自体を先延ばしにしてほしいという逆説的な願いに、花への深い愛惜が表れている。前歌の桜の散ることを惜しむ心を受け、この歌では梅について、散る前に咲くことさえ惜しむという一歩進んだ思いを詠んでいる。
初句「春されば」は春になるとの意である。
二句「散らまく惜しき」は前歌の結句「散らまく惜しも」とほぼ同じ言い回しで、二首の対応を示している。
三句「梅の花」は体言で、惜しむ対象を示す。
四句「しましは咲かず」の「しまし」はしばらくの意である。咲くことを先延ばしにしてほしいという願いを示す。
結句「ふふみてもがも」の「ふふむ」はつぼみのままでいる意、「もがも」は願望の終助詞である。散る前のつぼみの状態にとどまってほしいと願って結ぶ。
ふふむ:花がつぼみのままでいる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春雨はいたくな降りそ桜花 いまだ見なくに散らまく惜しも
- 次の歌
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見わたせば春日の野辺に霞立ち 咲きにほへるは桜花かも