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春霞たなびく今日の夕月夜
清く照るらむ高松の野に

歌の意味
春霞がたなびく今日の夕月は、高松の野にさぞ清らかに照っていることだろう。
鑑賞
巻第十 春雑歌 1874

詞書「月を詠む」
 春霞のたなびく夕べ、高松の野を照らしているであろう月を思いやる歌で、題詞「月を詠む」の一連の最初に置かれる。霞のかかる春の夕月を、遠く離れた高松の野に思い描き、そのほのかに清らかな光を想像している。花の一連に続いて月の一連が始まり、春の景物が昼の花から夕べの月へと移っている。

 初句「春霞」は春に立つ霞で、夕月の光をやわらげる景として置かれている。
 二句「たなびく今日の」は霞のたなびく今日のの意である。今日という特定の日を示している。
 三句「夕月夜」は夕方に出る月、またその月の出ている夜を指す。
 四句「清く照るらむ」の「らむ」は現在推量で、見えない場所の今の様子を推し量っている。
 結句「高松の野に」は高円の野とされ、倒置によって月の照らす場所を最後に示している。

ゆふづくよ:夕方に出る月。また、その月の出ている夜
出典
万葉集
前の歌
いつしかもこの夜の明けむ鴬の 木伝ひ散らす梅の花見む
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春されば木の木の暗の夕月夜 おほつかなしも山蔭にして