春されば木の木の暗の夕月夜
おほつかなしも山蔭にして
- 歌の意味
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春になると、木々が茂って薄暗い木陰の夕月は、ぼんやりとしておぼつかないことだ。山の陰にあって。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1875
詞書は前の歌に続き「月を詠む」
春になって木々が茂り、山陰で木の下闇となった中に見る夕月のおぼろさを詠んだ歌である。前歌が清らかに照る夕月を思いやったのに対し、この歌は木陰と山陰に遮られてぼんやりとした夕月を詠み、同じ夕月夜の清らかさとおぼろさとが対照をなしている。訓読には「一云 春されば木の暗多み夕月夜」の異伝が添えられ、上の句を木陰が多いのでとする伝えもある。
初句「春されば」は春になるとの意である。
二句「木の木の暗の」の「木の暗」は木が茂って暗くなったところ、木の下闇の意である。字余りの句である。
三句「夕月夜」は前歌の三句と同じ語で、二首が夕月夜を共有している。
四句「おほつかなしも」はぼんやりとしてはっきりしない意で、「も」は詠嘆である。ここで四句切れとなる。
結句「山蔭にして」は山の陰にあっての意である。倒置によっておぼろさの理由を最後に示している。
このくれ:木が茂って暗くなったところ。木の下闇
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春霞たなびく今日の夕月夜 清く照るらむ高松の野に
- 次の歌
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朝霞春日の暮は木の間より 移ろふ月をいつとか待たむ