今行きて聞くものにもが明日香川
春雨降りてたぎつ瀬の音を
- 歌の意味
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今すぐ行って聞きたいものだ。明日香川の、春雨が降って激しく流れる瀬の音を。
- 鑑賞
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巻第十 春雑歌 1878
詞書「河を詠む」
春雨に水かさを増して激しく流れる明日香川の瀬音を、今すぐ行って聞きたいと願う歌で、題詞は「河を詠む」である。旧都明日香を流れる川への懐かしさと、春雨によって勢いを増した清流の音への憧れが込められている。前歌の春雨が恋の道を阻んだのに対し、この歌の春雨は川の音を豊かにするものとして詠まれている。
初句「今行きて」は今すぐ行っての意である。すぐにでも駆けつけたい心を示す。
二句「聞くものにもが」の「もが」は願望の終助詞で、聞けたらよいのにの意となる。ここで二句切れとなる。
三句「明日香川」は飛鳥の地を流れる川である。都が奈良に移った後も、旧都の川として懐かしまれた。
四句「春雨降りて」は春雨が降っての意で、川の水かさが増した理由を示す。
結句「たぎつ瀬の音を」の「たぎつ」は水が激しく流れる意である。字余りの句で、倒置によって聞きたい対象を最後に示している。
たぎつ:水が激しく流れる。わきかえる
せ:川の浅く流れの速いところ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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春の雨にありけるものを立ち隠り 妹が家道にこの日暮らしつ
- 次の歌
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春日野に煙立つ見ゆ娘子らし 春野のうはぎ摘みて煮らしも