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冬過ぎて春し来れば年月は
新たなれども人は古りゆく

歌の意味
冬が過ぎて春が来ると、年月は新しくなるけれども、人は年老いていく。
鑑賞
巻第十 春雑歌 1884

詞書「旧りにしを嘆く」
 冬が過ぎて春が来るたびに年月は新しくなるのに、人は古びて老いていくことを嘆いた歌で、題詞「旧りにしを嘆く」の一連の最初に置かれる。新たに巡る自然の時間と、ただ一方向に過ぎていく人の生との対比が明快に示されている。本巻の第千八百五十七首の「年のはに梅は咲けども」と同じく、自然の循環と人の老いとを対比する嘆きである。

 初句「冬過ぎて」は冬が過ぎての意で、本巻の第千八百四十四首と同じ初句である。
 二句「春し来れば」の「し」は強意の副助詞である。春の到来を強く示している。
 三句「年月は」は主題を示す。新たに巡る時間を取り上げている。
 四句「新たなれども」の「ども」は逆接で、年月と人とを対比する転換点である。
 結句「人は古りゆく」の「古る」は古くなる、年老いる意、「ゆく」は次第に進む意である。老いていく人の身を嘆いて結ぶ。

ふる:古くなる。年老いる
出典
万葉集
前の歌
ももしきの大宮人は暇あれや 梅をかざしてここに集へる
次の歌
物皆は新たしきよしただしくも 人は古りにしよろしかるべし